美味しいワインの製造には美味しいワインブドウの栽培が不可欠です。
キャノピーマネジメントとは、ブドウ栽培において重要な手法です。
今回は、キャノピーマネジメントの基本的な考え方や実践方法を解説します。
さらに、ワインの美味しさに直結するブドウの栽培技術やマネジメントのポイントについても触れます。
ワイン愛好家やブドウ栽培に興味がある方は必読です。
また、会社のマネジメントにも共通する考え方があるため、経営者やマネジメントに関心のある方にも参考になるでしょう。
ブドウの樹の生き残り方法
ブドウの樹は、将来確実に生き残るために、いろいろな方法を取ります。
日照を得るために、森の木と競い、木の上まで這い上がり光を得に行きます。
また、密集した森林の中でも生き残るために、水と栄養素を求め、土中に広範囲かつ地中深く根を広げます。
このように活動するのも、ブドウが将来に子孫を残すために種子を残す、そして、種子を残すために果実を実らせるためなのです。
ブドウは、生き残りに危険を感じなければ生き残るために足りるだけの果実を実らせバランスよく、環境に合わせて成長します。
環境が悪く危機を感じるときは、自然の法則なのでしょうか、自分の成長を犠牲にしてまでも多くの果実を実らせようとします。
そのため、人がブドウの樹を管理するときに利益を上げるためには、この特性を利用する必要があります。
ブドウの木に、ストレスを与えるというのはこのためなのです。
ご存じの方も多いかもしれませんが、ブドウの樹は新梢と呼ばれた枝が1年後に木質化し、その枝から新梢が伸び、その新梢にブドウを実らせます。前年の新梢が、次年度の生産量を決めるため、次の年のことを考えながら、成長をさせる必要があります。
ブドウで最良の結果を出すために注意すること
1. 害虫やカビ
成長期から夏の間は、害虫やカビに注意が必要です。
これを防ぐために農薬を使うと、今度は農薬によりブドウの生育を阻害することもあります。
農薬は収穫が近くなるとワインに持ち込まないために、散布をやめる必要があります。
2. 除葉と剪定
ブドウの実が色付き始めて糖度が上がり始めると、実が日陰にならないようにすることが大切です。
実に糖を送る光合成は葉で行われるため、葉を茂らせることも大切ですが、果粒に日光をあてると果実のフレーバーが良くなります。
しかし、今度は葉を茂らせすぎると収穫の邪魔になり、また風通しが悪くなり今度は虫やカビが付きやすくなります。
このような、ブドウの葉の成長をうまく制御することで、ワインブドウの糖度を上げつつ、病気や害虫の被害にあわないようにするマネジメントのことをキャノピーマネジメントといいます。
キャノピーマネジメントは、経営のマネジメントと似ています。
社長が収益を上げるために、ワインブドウに例えると糖を作り出す葉をたくさん茂らせることに集中するようなことをすると、短期的には収益もあがるでしょうが、葉が茂る(収益を気にする)ばかりで、葉の成長をうまく制御しなければ、風通しが悪くなりせっかく実ったブドウもカビや病気にやられ収穫できなくなります。
社員からの改善や要望を聞き入れない風通しの悪い経営と似ていますよね。
会社の風通しが悪くなれば、長期的には、ブドウの実にカビが生えるように生産性が下がり、社員がやめることに繋がります。
経営者として、葉も茂らす、実も病気にさせない経営をして結果を出すにはバランス感覚が必要です。
経営者の方は、自分の経営のバランスが崩れていないか、時には社員の声に真摯に耳を傾けることにも心掛けてください。
日頃のキャノピーマネジメントが良いブドウの収穫、美味しいワインに繋がります。
美味しいブドウを収穫するように、経営者も長期的な視点で経営を行うことが大切です。