最近の日本ワインの成長には目を見張るものがあります。
今回は、「酒類製造業及び酒類卸売業の概況」の令和4年アンケートと令和5年アンケートを比較から、日本ワイン業界について考えてみたいと思います。
資料:国税庁
1.都道府県別のワイナリー数
- 全体でワイナリー数は15社増加しました
- 県別ワイナリー数の上位5社の順位変更はありません
- 県別にみると、山梨県は2社減少し、長野県が7社増加しました。長野県の増加が突出しています。全国で15社増加のうち長野7社を占めており、長野県の政策と千曲川ワインアカデミーのような研修期間の充実によるものと推測されます。
2.上位5県の製造免許場と製造免許者数
- 全体で製造免許場は45、製造免許者は29増加
- 各県ともに、製造免許場、製造免許者は増加
- 県別の増加数の順位は、ワイナリー数の順位と同じ
3.ワイン製造者の経営状況
(1)欠損または低収益事業者数
- アンケート回答者の欠損又は低収益事業者の割合は47%から43%に改善
- 一方で回答者数が減少しており、令和5年のアンケート結果のみで改善傾向と判断するにはデータが不足している
(2)損益計算書の条項 単位:金額は百万円、率は%
- アンケート回答者の売上高は、全体で276億円増加うち日本ワインは1億17百万円増加した
- 日本ワインの売上を規模別にみると、100kl未満の人が約19億円増加しており、100kl以上300kl未満が17億円減少となっている
- 100kl以上300kl未満のサンプルが少ないため、前年対比でみると大きなぶれが生じている
4.新規ワイン製造者の経営
単位:金額は百万円、率は%
- アンケート回答者は、100ml以上が2減少、100未満が20増加
- 100ml未満で欠損又は低収益と回答する割合は、52.5%から45%に改善。特に100kl未満では9%改善した
⇒ 新規ワイン製造者全体的に、設備投資の負担も大きく、ワイン業界全体と比べると収益力が劣っている