フランスのワインでラベルに「シャブリ」と書かれたワインがあります。
このシャブリと名乗るワインについて今回は日本の精度と比較して考えてみます。
シャブリはフランスの地名で、ブルゴーニュ地方の北西部でヨンヌ県に位置するワインの産地です。
ピュアな白ワインの産地として有名で、シャブリというだけで、ワインの知識がある人であれば、どのような白ワインであるか想像がつきます。
これを日本で例えると「東御」というラベルをみると、ワインの知識があれば、どのようなワインかある程度想像できるということになります。
しかし、日本には、まだラベルにある地名でワインが想像できる状況ではないようです。
フランスでは、なぜこのようなことができるのでしょうか。
まずはフランスのワイン法律を考えてみましょう
フランスではあらゆるワイン産地で共通するもので、地理的表示(GI)という制度があります。
2009年からこの制度が適用され、ワインを作るにあたり、地理的表示付きのワインを作るか、地理的表示のないワインを作るかを選ぶことになります。
シャブリは地理的表示付きのワインになります。
地理的表示付きワインは、A.O.P(原産地呼称保護)とI.G.P(地理的表示保護)の2つに分かれ、地理的表示がないワインはV.S.I.Gと呼ばれます。
A.O.Pはフランス語でアペラシオン・ドリジーヌ・プロテジェと呼ばれ、1935年に制定されたA.O.Cがラベルに使われることもあります。A.O.Cは、アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレと呼びます。
原産地を名乗るということは、その呼称で決められたブドウを栽培し、醸造するという意思表示を登録することとなり、決められたブドウ栽培の範囲、最大収穫量、最低アルコール度数、選定方法や醸造方法に従うことになります。
考えてみるとブドウは農作物なので、適地適作という言葉がある通り、地域にあったブドウの品種を使い、その地域で美味しく作る栽培方法があるわけです。
それを決め、栽培をすることで、消費者は安心してワインを買うことができるわけです。
シャブリという名前があることで、消費者は安心してシャブリというワインを選ぶことができるわけです。
シャブリ地区にあるA.O.C(A.O.P)
シャブリは品質によって4つの段階に分かれ、分類されています。
Petit Chablis.
Chablis.
Chablis Premier Cru.
Chablis Grand Cru.
シャブリはブルゴーニュ地方に属し、ブルゴーニュ地方は畑で上記の4つの段階が決まります。
栽培条件が悪い畑はPetit Chablisに分類されます。
一番格付けが高いのは、Chablis Grand Cruで、7つの畑があります。
- Bougros ブーグロ
- Preuses プルーズ(les Preusesとも呼ばれる)
- Moutonne ム—トンヌ(PreusesとVaudQsirにまたがる非公式畑でラベル表記が認められている)
- Vaudesir ヴォーデジール
- Grenouilles グルヌイユ(Chablis Grand Cruの中で面積最小)
- Valmur ヴァルミューノレ
- Les Clos レ・クロ(Chablis Grand Cruの中で而積最大)
- Blanchot ブランショ
7つしかない公式グランクリュ畑の覚え方は、頭文字を上から並べ「BLVGVLB」と左右対称になると覚えると覚えやすいでしょう。
ワインの教本では、シャブリやプティ・シャブリは、酸が高く、緑色系の果実の風味をもつシャープなワインになることが多い、シャブリ・プレミアクリュやシャブリ・グランクリュは凝縮度の高い果実味と高い酸味があると記載されることが多いです。
フランスと比較して、日本のワインでは、地区で栽培できるブドウや栽培方法・醸造方法が決められていません。
国税庁(農水省ではない)が定めるGIも広く認知されていない状況です。
そのため、初めてワインを買う時は、ワインを開けてグラスにつぐまで、どのようなワインかお楽しみになります。