2月に入り、ワイナリーでは剪定作業が始まっています。
剪定作業とは、ブドウの木の一部を切断することです。
これは、ブドウ樹に負荷をかける一方で、今後の収穫の量と質を決める重要な作業です。
剪定の目的
剪定の目的は大きく2つあります。
1つ目は今年の目標で、栽培条件に合わせてブドウの木が成長可能な空間のなかに収めること、十分な生産量が確保できるようにすること、そしてブドウの房が元気に成長できるようにすることです。
2つ目は来年以降の目的で、来年の剪定を容易にする、来年十分な生産量を確保する、そしてブドウの寿命を長くすることです。
剪定の方法
剪定の方法を説明する前に、ブドウの木について言葉の説明をします。
垣根栽培の場合、木の幹から長い枝が伸びています。
長い枝は2年前の枝です。
これを長梢と呼びます。
その枝から上向きに数本の枝が出ています。
この枝が去年の枝でこの枝に房が付きました。
これを新梢と呼びます。
剪定は、主に去年の新梢のうち1本を残して残りの新梢を切る作業になります。
新梢を切る道具は、当たり前ですが剪定ばさみをつかいます。
一つ一つ木の形が違うので手作業で実施し、一日に何本もの枝を切るので握力がなくなります。
最近で電動式の剪定ばさみがあるので、これを使えば剪定のスピードがあがります。
剪定にはコツがあります
まず、木の樹勢を判断すること。
木の樹勢に合わせて剪定します。
剪定することは木に負荷をかけます。
負荷をかけすぎると、ブドウは果実を熟成させ子孫を残そうと栄養を出してしまい、貯蔵される栄養が少なくなるといわれています。
そのため次の年には十分な花がさかず収量が落ちてしまいます。
また、1本の新梢を残すといいましたが、新梢にはたくさんの節があり、節から芽が出るので、適切な芽の数が残るように長さを調節する必要があります。
剪定がうまくいかない場合
剪定せず負荷をかけないブドウは、100年生きるといわれています。
剪定で木に傷をつけると老化を加速させ、早く木が死んでしまいます。
剪定で木が死んでしまう理由は大きく3つあります。
一つ目が左右が対象にならない場合です。
これは、一方に優先的に樹液が流れてしまい、片側が枯れてしまいます。
2つ目はが剪定による傷です。
乾燥して固くなり、これが樹液の流れを止めてしまいます。
3つ目が樹液の逆流です。
剪定により上に樹液が流れず逆流することで木が枯れてしまいます。
剪定は収穫を決める重要な作業です。
ブドウが水を吸い始める3月までに終了させる必要があり時間との戦いでもあります。
今年美味しいワインができるように、今、剪定をしています。