農地取得の大変さ
農地を借りたいとか買いたいと考えたことはありますか。農地取引は一般的な土地取引とは異なり、農地法で規制され、農業者でなければ農地を取得することができないなどの農地法の要件を満たす必要があります。そのため、新たに農業を始めたくても農地が借りられない、取得できないなどのハードルにすぐ直面します。日本ワインの栽培を目指す若者の姿を描いた映画「ウスケボーイズ」https://usukeboys.jp/ でも農地取得の大変さが描かれています。
「えー、農地は耕作放棄地が増え、農業者が高齢化して農業の担い手不足と聞いている。それなのに、農地が取得できないの?」と疑問を持たれると思います。いろいろ、政府は法律を緩和していますが、それでも農業をしたことが無い人が農地を取得するのは難しいのです。逆にいうと、農業への参入障壁が高いので、農業者不足が起きています。
新しく農業を始めるためには、まず農地を手に入れる必要があります。農地を買うか借りるかする場合は、農地法の許可を受ける必要があります。農地法の許可を受けずに売買や貸借を行ってしまうと、法律的には無効となり、登記もできません。まずは、農地を利用する目的などを、農業委員会に申請しなければなりません。例えば、耕作するために農地を取得する場合は農地法第3条の許可申請が必要です。農地を住宅や畜舎などの用地に転用する場合も農地法第5条の許可申請が必要です。
新規就農者が聞かれても困る質問ばかり
ワイン事業を行うために、新規就農者として農地の取得を考えたとき、市町村からきかれるのは次のことです。新規就農者を想定した質問ではないため、新規就農者が聞かれても困る質問ばかりです。
Q: 農地の利用を効率的に行いますか?(全部効率利用要件)
こころの中:まだ、農地もってないけど、効率的に使いたいです。
Q:住所地や拠点が、農作業に影響がない距離にありますか?
こころの中:農地が決まれば近くに住みたい。でも農地が決まらないので住所がきまらないで困っています。
Q:農作業に必要な機械を、持っていますか?導入予定でもOKです。
こころの中:農地も決まらないのに、先に農機具を買わないとだめなんだ。農機具は何を買えばいいのだろう。
Q:必要な労働力を、耕作する面積に合わせて確保していますか?
こころの中:農地も取得していないので、耕作面積もわからない。そのなかで、労働力確保しているかときかれても困るな。
Q: 個人の場合、農作経営に常時従事しますか?((農作業常時従事要件)常時とは、原則150日以上です。)
こころの中:農作物ができるまでの間の生活費を稼ぐため、生活のためのアルバイトをしないといけない。農作物ができるまで150日農業に従事といわれてもなぁ。生活できない。
Q: 周辺の農地利用に悪影響を与えないでくださいね(地域との調和要件)
こころの中:周囲に溶け込みたいけど、新規参入者を受け入れてもらえるのかな、不安だな。
効率的に農業に参入するために
新規就農者の農地取得は、卵が先かニワトリが先かという話がつきまといます。
新規就農者が、これらの質問に答えるためには、県の事業である農業里親制度などを利用し農業に参入するなど、効率的に農業に参入できる工夫を検討することが必要です。